「食中毒防止」

 食中毒の原因には、ノロウィルスなどのウィルス、腸管出血性大腸菌 (O157やO111) などの細菌、フグ毒などの動物性自然毒、毒キノコなどの植物性自然毒などが挙げられます。飲食店や福祉施設などで食中毒が発症し、最悪の場合は死亡に至ってしまった事件がニュースで多く取り上げられています。 例えば、2011年に焼肉酒屋えびすでは O111 や O157 による食中毒が発生し 181 名が発症 5人が死亡、2012年には札幌市とその近辺の高齢者施設では白菜の浅漬け製品が原因の O157食中毒が発生、169人が発症し8人が死亡した事件は記憶に新しいでしょう。
これからの季節、食中毒にはますます気をつけなければなりません。厚生労働省のマニュアルには以下のような対策が示してあります。

  • 調理施設 : ねずみや昆虫の駆除、汚染作業区域と非汚染作業区域の区別など
  • 基本動作 : 下痢発熱などの症状はないか、 手指や顔面に化膿創がないか、指輪やマニキュアをしない など
  • 原材料の取扱い:納入時には調理担当者が立ち会い、原材料の品質、鮮度、品温、異物の混入等について点検しているか など
  • 調理器具等 : 包丁やまな板等の調理器具は、用途別及び食品別に用意し混同しない など
  • 調理等:加熱調理食品は中心部を十分(75°Cで 1 分間以上 (二枚貝等ノロウィルス汚染のおそれのある食品の場合は 85 ~ 90°Cで 90 秒間以上 ) 等 ) 加熱 など
  • 手洗い : 指、 腕を洗う。 特に、 指の間、 指先をよく洗う (30 秒程度) など

 飲食店や施設などで食中毒が発生した場合には、【民事】 民法による損害賠償責任、 製造物責任法 (PL 法) による損害賠償責任、【刑事】 業務上過失致死傷罪、【行政】 営業停止といった法が適用される場合があります。 過去の裁判例を見てみましょう。

ー 幼稚園内の井戸水を飲み O157 に感染し 2名が死亡した事件においては、1996年浦和地裁にて園長が禁固2年、執行猶予4年の判決
ー ボツリヌス菌中毒の原因であるオリーブ瓶を購入したレストラン店主が輸入商に提訴し、2001 年東京地裁にて慰謝料および休業損害料計 350万円の判決
ー 14780人の発症者を出した雪印乳業の食中毒においては、 2003 年大阪地裁にて工場長が禁固 2年執行猶予3年、主任が禁固1年6ヶ月執行猶予2年の判決

 判決内容もさることながら、これらは企業ブランドの毀損につながることを経営者は意識するべきです。 また早期に対応しなかったり事後の対応を誤ったりしてしまうと更なる損失につながり、そのダメージは甚大です。「信用を獲得するには長い年月を要し、これを失墜するのは一瞬である。そして信用は金銭では買うことはできない。 (1955年当時の雪印乳業株式会社 佐藤貢社長)」 のです。